校門へ向かいながら、グラウンドをもう一度見てみる。



「……!!」



ちょうど空を仰いだ夏希と、目が合った。


その姿にちょっとだけ、ドキッと胸が鳴った。

なんでなんで!夏希のくせに。


なんて悪態をついていると、夏希の口がわずかに動いていることに気がついた。



「あ、ほ……ず、ら!?」



アホ面!?

夏希が口パクで、器用にアホ面とか言ってきたんだけど!?


あたしの驚く表情が見えたのか、夏希は楽しそうに笑った。


夏希の方がアホ面だし!

“バカ!”と口パクで言い放ち、すぐにその場から立ち去った。