部活のかけ声で賑わうグラウンド近くのベンチ。

きっと、誰にも聞こえてないよ!



「まだ決まってないの!ただ今年は、その……お父さんが……」

「んんーっ!!」

「わ!ごめん!!」



あたしが必死に訴えると、やっと口から手が離れた。


しいちゃんってば……!

あたしの口をふさいだまま、話を続けようとしたな!



「で?お父さんがどうしたの?」



自由になったあたしは、またしいちゃんときちんと向き合う。


すると、しいちゃんはグラウンドを見ながら口を開いた。