慌てて否定したあと、ふう、と息をはく。


ため息をついてたのは……。

グラウンドを見ながら、小さく口を開く。



「森谷先輩さ、すごく優しいし、あいさつも返してくれるんだ」

「うん、優しいよね。……それがどうしたの?」



優しい口調で尋ねてくれる、しいちゃん。

あたしはグラウンドから隣に座るしいちゃんへ目を移す。



「森谷先輩って、誰に対しても壁がある気がするんだよね……」



先輩はすごく優しい。

笑顔だって、口調だって。


あたしを惚れさすには十分すぎるくらい、カッコいいの。