そんなことを言いながら、ノートを覗き込んできた陽菜。


その距離、わずか10センチ程度。



「ま、まあな、一応ハイクラだし」

「あ、そっか〜そうだよね。さすが文ハイ!」



陽菜の髪から香るシャンプーの香りが、鼻をかすめる。


思わずドキッと跳ねた心臓に気づかれないように、話を続ける。



「理系の方が難しいだろ?物理もあるし」

「あたしは化学とか物理の方がまだできるかなぁ。古典、ほんと苦手なんだよね」



そうぼやきながら、俺が今解いている問題をまじまじと見つめる陽菜。