わかってるくせに。


あたしだって、夏希の彼女になりたいよ。



「……もう、着くな」

「あ、ほんとだ……」



ゆっくりとゴンドラのドアが開く。


すると、「おかえりなさーい!」と元気な係員のお姉さんの声。



「ほら、いくよ」



夏希が先に出ると、あたしに手を差し出してくる。

その手を掴んで、ゴンドラを降りる。


差し出された手を、迷うことなく掴めるって幸せだなぁ。



「まだ時間あるな。しいんとこ行く?」



スマホで時間を確認すると、あたしにそう聞いてくる夏希。