周りの景色を見ようと顔を上げたとき、ちょうど夏希と目が合った。 「もっと騒ぐかと思った。陽菜、高いところ好きだろ?」 ああ、そっか。 あたしが乗り物好きだから、乗ってるだけだよね。 あたしだけドキドキしてるのか……。 「楽しいよ。きれいな景色見れるからね」 「ん、ならいいけど」 それから、いっときの沈黙。 観覧車は4分の一くらい回った。 「……今さらだけど、葉山と回るのに邪魔して悪かったな」