ゲートを通るとき、「あっ!」と声がして反射的にそちらを振り向く。


目が合ったのは、しいちゃん。



「しいちゃっ……」



そう口走ったとき、しいちゃんがふわりと笑った。


その笑顔がちょっと呆れたようにも見えたのは、あたしの気のせいかな。



「なにから乗る?」

「ジェットコースター!」

「うわ、最初からとばすな」

「あ、夏希って高いところ怖いんだっけ〜?」



そう言ってからかうと、夏希はふん、と目を逸らして歩き出す。



「そんなの、小さいときの話だから」



そのつんとした夏希の姿が、たまらなく愛しいと思った。