「……へぇ」

「な、なに!?」



葉山くんがあたしの顔を覗き込んで、意味深にうなづく。


さっきより、グラウンドが活気づいてきたみたい。

それに気づいたあたしは、グラウンドを指差して「あっ!」と声をあげる。



「練習、始まるんじゃない?もう行った方がいいよ!」

「あー……ほんとだ。行かねぇと」

「がんばって!」



無意識にそんな応援の言葉を言っていたけど、頭の中は夏希のことでいっぱい。


サッカー部の練習が始まっても、あたしの目は野球部に向いていた。