「ひなちゃん!待ってって!ひなちゃん、聞こえてないの?」



新しいクラスになって、始業式と大掃除が終わってからは、課題テスト。


古典と現代文、絶対悪いよ……。

と、クタクタになって教室を出たところでひなちゃんを連呼する声が聞こえた。



「陽菜のことじゃないの?」

「え、違うでしょ」



足を止めて教室の方へ振り返るしいちゃんに対して、あたしは前を向いたまま。


そもそも、あたしを陽菜ちゃんって呼ぶ男子なんていないはず……。



「陽菜ちゃん!古藤陽菜ちゃんのこと呼んでるんだけど」