春休みは、意外にもあっという間に過ぎていった。


あたしと違って、部活でいそがしい夏希。

だから、話せる時間はあんまりなかった。


話したとしても、午後練の夏希にバッタリ会って、"がんばってね"って言ったり、午前練が終わったときには"お疲れ"って声をかけたり。



「ふわぁ〜……」



あくびをもらしながら、靴を履く。


朝だって、一緒に行かなくなった。

あたしの家を出る時間は変わってない。


夏希が早く家を出るようになったの。

教室にはいつも、夏希が先に来てるから。