お店の前で立ち止まっていると、見覚えのある男の人を見つけた。


あれは……誰だっけ。

あの、爽やかな印象だった……。



「あれ?君は確か…….」



向こうもあたしを見ている。


見たことあるけど、名前は知らない。

それは向こうも同じなはず……。



「古藤陽菜ちゃんでしょ?覚えてるかな、俺のこと」

「えっ、と……すいません、顔だけ」



なんでこの人はあたしの名前を知ってるんだろう。しかもフルネーム。


あたしが顔だけ覚えてる、この人。

いつか、学校近くでぶつかってしまった人だった。