もう、惑わさないで……。



「そんなの知りたくもねぇよ。それに、俺は陽菜のことが……」

「おーい、お前らー!もうすぐでチャイム鳴るぞー」



ハッとした。

目線を上げると、特別棟の方から担任の先生が歩いてきている。


遅刻しちゃう……!



「お、おはようございます!じゃあ、あたしはもう行きます!」



先生にあいさつしたあと、夏希を見ることなく階段をかけ上った。


もちろん、教室にはあたしが先に着いて、あとから夏希も入ってきた。