夏希から目線を逸らして、なんとかそれだけ言えた。


こんなときなのに、夏希の真剣な表情にドキドキしてる。

あたしって、とことんバカだ……。


夏希はあたしの手首を解放すると、強い光を宿した瞳を向けてくる。


その瞳を見つめ返すことはできない。

向き合うことが、こわい。



「……変な勘違いってなんだよ。納得いかねぇ」

「言わなくても、わかるでしょ……!」



やだ。やめて。

自惚れるようなこと、言わないで。


夏希に好きな人がいるなら、諦めるから。

せめて、幼なじみでいたいから。