いつの間にかげた箱はガランとしていた。
誰もいない……。
え……しいちゃんもいない!?
「と、とにかくそういうことだから!それじゃ、先に行くね」
今のあたし、冷静のかけらもない。
頭冷やさなきゃ。早くひとりにならなきゃダメ。
教室のある方向へ体を向けて、歩き出す。
ーーグイッ。
「待てよ」
「う、わっ……」
すばやく手首を掴まれて、あたしはその場にとどまる。
振り向けば、夏希の真剣な表情。
握られた手首はじんじんと熱を帯びる。
「な、なに……っ?」
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