カバンに入ったスコーンをギューっと、つぶしてしまいそうなくらい握る。 今さら、スコーンを取り出して渡せるような雰囲気じゃない。 あたしって、ほんとバカ……。 「……ふ、彼女か……」 自嘲的な笑みを浮かべながら、そうつぶやいた夏希。 なに、その反応。 今のあたし、なんでもマイナスに考えてしまう気がする。 夏希は好きな人がいるのに、あたしが幼なじみとしてそばにいるから邪魔だ、とか。 「あたしがいるせいで彼女ができないならさ……」