頭が働かなくて、夏希になにを言えばいいかわからない。



「だから……っ、チャラ男じゃないよ!優しかったもん!」

「はいはい、わかったから。陽菜が鈍いから、優しい幼なじみが心配してあげてんだよ」



結局、最後はサラッと流される。


ていうか、あたしなにを言ってるんだ。

あの男の子の肩を持つことしか言えなかった。


はぁ……。

なにが、"好きになったら全力投球!"よ。


あたし、とんだ臆病者だ。

自分の気持ちに気づくことさえ、怖がってる。


歩きだした夏希の背中を、すぐには追いかけられなかった。