「……ふっ」 どれくらい時間が経ったのか、先に目を逸らしたのは夏希だった。 小さく笑いながら、ちょっとうつむく。 それから、あたしを優しい目で見つめて、やっぱり小さく微笑む。 「からかって悪かったな。陽菜の反応がおもしろくて、つい」 そうだよ、からかうにも程がある。 ふざけて言うようなセリフじゃないもん。 でも、夏希の真剣な表情に、声に……ドキドキしたのは、ほんと。 「ホットココアおごってくれたら、許してあげる!」 「ふっ、そんなんでいいの?」 夏希のことは、好きだよ。