……すると、なぜかその手を掴まれる。 なに?なんで掴まれるの!? なんて疑問が言葉になる前に、腕をグイッと引かれる。 すぐ近くに、夏希の整った顔。 部活が終わったばっかりのくせに、ほのかにシトラスの香りがする。 な、なんなの……っ! 「お前、俺の女になれよ」 耳を疑った。 なにも考えられなくて、思考が停止したような感覚に襲われる。 「な、なななに言ってんの!?」 噛みながらも、なんとか言葉を発する。