動きを止めた夏希の顔が、みるみるうちに赤くなる。


……えっ!?

な、なにごと!?


びっくりして、颯希くんと困ったように目を合わせたとき、夏希がわざとらしく咳をした。



「え、夏希、だいじょ……」

「冗談だから」



手の甲で顔を隠していて、夏希の表情がよくわからない。


それに、冗談って?

……まさか。



「好きな人なんて、いるわけねぇだろバカ!少なくとも陽菜じゃねぇから!!」



やけに大きな声で叫んだもんだから、境内に響いた。


好きな人……いないの!?

え、どっちなの!?