ベンチに座った途端、夏希が口を開く。


さっき?

……あたしの言葉?


たい焼きを食べる手を止めて、夏希の方を見る。

颯希くんはまだ夢中でたい焼きを食べている。



「陽菜とデートしたいやつ、ひとりくらいいるって言っただろ?」

「い、言ったけど……」



夏希め、まだ覚えてたのか!

さっきのことは忘れてくれていいのに!


なんとなく夏希から視線を逸らして、たい焼きを見つめる。



「そのひとりは、ぜってぇいるよな」



言葉の意味がわからなくて、また夏希の方を向く。