「いつまで腕掴んでんの。つーか、そんなに見んな」
手の甲を頬に当てて、そっぽを向いている夏希。
夏希の顔、赤いような……?
よくわからないまま、腕を離す。
めずらしく夏希が優しいことだし、ここは甘えちゃおうかな。
「じゃあ、お願いします……」
「ん、颯希のこと、頼むな」
そう言って微笑んだ夏希がなんだかカッコよくて、心臓がドキッと跳ねた。
夏希って意外と面倒見がいいんだよな。
やっぱり、お兄ちゃんだからかな……。
なんて思いながら、あたしは夏希の背中を見つめていた。
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