「陽菜と久しぶりに出かけられてうれしいなって思っただけ」



夏希が言ったその言葉は、スッとあたしの中に入ってきてなぜか胸を熱くした。


あたしってば、まだ失恋を引きずってるのかな。

夏希の言葉でさえ、うれしく感じて泣きたくなる。


……泣きたくなる、なんて、そんなの違う。

ただ、素直な夏希がめずらしいだけだもん。



「夏希がそんなこと言うなんて、気持ち悪っ!」



あたしはそう言い捨てて、また前を向く。


うしろばっかり向いてちゃダメ。

しっかり前を見ろ、あたし!