付き合いたいとかそういうのじゃないのに。
どうしてこんなに痛いんだろう。
『くぜ…』
「ん。」
『手、』
「ああ、どーぞ?」
こんな時でも口元にゆるりとニヒルな笑みを携えて。
慣れたように差し出された手を強く握りしめた。
この手にしがみつくことはできるのに、この人自身に縋ることはできない。
『っ…!』
もやもやとした思いは何もかも、入ってくる衝撃で弾け飛んでしまった。
揺さぶられているうちに、何もわからなくなって最終的にちりちりとスパークする。
いいよ、面倒なことは考えなくても良いじゃんって。
恋人かセフレかなんて、対して重要じゃない、って。
陳腐な解答にたどり着いてしまう。

