「頼?」
わいわいと話していたうちのひとりが心配そうに顔を覗き込んできた。
だめだ、こんな顔しちゃ。
「ごめん、からかいすぎた?頼って恋愛に興味ないみたいだったから…調子乗っちゃったかな?」
『大丈夫ー。昨日あんまり寝てなくて、頭ぼーっとしちゃってるだけなの。』
「頼は頑張り屋だからねえ。勉強大変?」
どきり、とした。
私には将来の夢がある。そのために勉強してる。
でも、今日眠いのはそのせいじゃない。
彼氏でもない男、久世に抱かれていたから。
『でも睡眠時間削るのは良くないよね、今日はちゃんと寝る。』
結局、誤魔化してしまった。
教室内のざわめきも、遠くに感じる。
私の周りでぐるぐる回っているみたいに。
どうして後ろめたい気持ちになるんだろう。
久世はさすがに結婚はしてないみたいだし、他の誰に迷惑かけてるわけでもないというのに。

