俺奈々穂のことを呼ぼうとすると,奈々穂の口から出た聞きなれない名前。


「お,奈々ー」


「目立つんじゃないわよ」


「しょうがないじゃん?」


人ごみの中から出てきた男は奈々穂のことを『奈々』と呼んだ。


知り合い,か?


いや,ただの知り合いでいることを祈りたい。


その男は男の俺らから見ても,綺麗だった。


「なにあの綺麗な男の人ー!!」


「知り合いじゃないか?」


「彼氏だったりして」


「やめろよ~進。心臓にわりぃ~」