ピタリと青久の動きが止まって、 冷たい空気がふたりを包んだ。 言ってはいけないことを、あたしは 言ってしまったのだろうか。 ……ううん、そんなことない。 あの日から、ずっと心に 引っ掛かって離れてくれないこと。 「……しっかり、あたしを振ってほしい」 なんとなく、あたしもわかってた。 こっちに来たのは、人には言えないような 何か大きな理由があったってこと。 それからーーこの前の電話の相手は 女の人だったってことも。