あたしだって音さんの存在を知ったとき、ショックでどうしたらいいかわからなかった。 なのに音さんは泣くこともせず、あたしをしっかりと見据えてただ冷静にそう言った。 「え……知ってたんですか」 「青久とずっと一緒にいたのよ。わからないわけないじゃない。まあー……あなたよりは短い時間だったけど」 「ごめんなさい、あたし……」 「まったく謝る必要はないわ。人の気持ちなんて、どうすることもできないもの」 こんな風に言ってもらえる日がくるなんて、全く思っていなかった。