それから特に悲しいことも衝撃的なこともなく。
毎日あたしは真里の隣で笑顔だった。
穏やかな気持ちのまま、秋が来て冬が来て。
春が来るころ、あたしたちは3年生になった。
身の回りで特に何か変わったこともなくーーー。
「家の事情で、瀧本が転校することになった」
3年の春、担任にそう告げられた。
騒つく教室で、あたしはひとり窓の外を眺めた。
あまり学校にも来ていなかったし、あれから青久の顔も見ていない。
いるようで、いないようなものだった。
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