譲りたくないのに、自分の気持ちを素直に表したいのに、かばいたいと思ってしまう。 青久の傷つく顔も悲しい顔も見たくない。 あたしってバカなのかな。 これが惚れた弱みってやつなのかな。 ねえ青久。音さんにあたしのこと、なんて紹介するつもりなの? 「こちら、幼なじみの逢沢はるさん」 「……あっ、はじめまして。逢沢はるです」 思うところはあったけど、とりあえず頭を下げて当たり障りのない挨拶をする。 あたしを幼なじみだと言った青久の瞳が、焦りの色に満ちている。