そもそもの発端は音で、一目見たときから音が俺のことを気に入ったからそばにいてほしいと、音の両親に頼まれたのだ。



援助の話もあったから断ることもできず、俺は音の家での居候生活をスタートさせた。



その間音は、俺に何かを頼むわけでもなく頼るわけでもなく。



ただただ音のそばにいた。
ただそれだけだったのに。



俺ははるを、忘れられずにいたんだ。




「……何のためって、わからないの?」



音が俺を睨みつけている。
美女が睨む姿には迫力があった。