その子って……。 「何言ってんだよ、音……」 「わたしが気づいてないとでも思ってたの?」 ドキリとしたときにはもう遅くて。 服に差し伸べていた音の指が、気づけば俺の肩にあった。 「わたしのプライドを汚すつもり?」 「何のことだよ」 「あなたが思いを寄せてる幼なじみの女の子」 冷静だった音の声が、微かに震えた。 ああ、そこまで知られていたのか。 隠していたつもりだったのに。