「なあ、音」 「なあに」 俺に目線を移すこともなく、音は口を開く。 「……夏祭りに、行かないか?」 時はすでに夏休み。 夏祭り開催の日が、近づいていた。 俺の言葉に一瞬こちらを見た音の瞳は、言葉を発しなくてもなにを言っているかわかった。 「……青久、夏祭り好きなんだっけ?」 俺がイエスと答えてもノーと答えても、音の答えは変わらない。 「よく、行ってた」 「そう。わたしの答えはノーよ」