「あおちゃん……」 そう呼びかけてみても、もちろん返事はない。 ゆっくりと目を開けて、あたしはため息をついた。 「なんだ、夢か……」 あくびをしながらベッドでゴロンと寝返りをうつ。 懐かしい夢だったなあ。 いつのことだったか忘れてしまった、でもとても大切な幼いころの記憶。 青久のおかげで、あたしは夏が好きになった。 夏祭りの時期がくれば、青久と一緒に行けるから。 特別な季節になった。大切だったのにーー。 起き上がって、開いた窓の外を眺める。 ーーーー夏が、 夏休みが、来てしまった。