「俺にはこの街以外に、帰る場所があるんだ」 「え……」 次々と、青久の言葉はあたしにショックを与える。 帰る場所は、本当に帰る場所はここしかないから、帰ってきたんだと思ってた。 でも、ちがったの? 「……帰る場所って、どこなの?」 「それはー……」 青久が口を開くと同時に聞こえた、着信音。 ふたりの動きがぴたりと止まって、音の出る方向を見る。 あたしは、わかってしまった。 ーーーーああ、タイムオーバーだ。