私はその場で立ち上がった。這っていたのでは、逃げるに逃げられないからだ。
だからと言って、この追い詰められた状況が好転する訳でもないが、チャンスがあればあの扉から外に飛び出さなければ…
しかし、松山さんがこうまでして私を付け狙う理由が、全く分からない。
松山さんは金属バットを振りかざしながら、私に向かって歩き始めた。
その表情からは、人間の情という物を全く感じられなかった。
私は少しずつ後退しつつ松山さんとの距離を保っていたが、ついに背中が冷たいコンクリートの壁に着いた。
その様子を見て、松山さんは嬉しそうに笑った。
「さあ、貴女の人生に幕を下ろしましょう…
ほら、叫んでもいいのよ?
ここは病院の一番奥だから、どんなに物音がしても、どんなに叫んでも誰も来やしないから――」
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