「ここでの生活は出来なくなったから、執事さんに記憶を消されて、人間界に帰ってきたってわけね。それなら、最初ルカ様を見てもなんの反応も示してなかったって納得できるよね」
梓はようやく全てのことを理解出来たのか、すっきりした表情でテーブルの上のティーカップを取った。
「言えなくてごめん。ここでのことは、絶対に誰にも知られてはいけないことだったから」
紅茶を飲む梓に言うと、梓は素早くカップから口を離し大きく両手を振った。
「そりゃそうだよ!!こんなに変わった生活、絶対誰にも言えるわけないじゃん。あたしがサラでも、絶対言えてないもん」
あたしは梓を見て、切なく微笑む。
「ってことは、ここの事を知っているのは、あたしとタスクくんだけってことだよね?」
「そのことなのですが……」
梓が言うと、シキは何かの紙を二人の前に差し出した。
梓と庵可くんは、テーブルに置かれたA4サイズの眺める。
「契約書?」
ふたりの言葉が重なる。


