この茶番劇、魔界にいる限りずっと見ることになるのかな。
あたしは、ヘイリの手を取らずに睨みつけるようにしてひとりで立ち上がった。
まだ足に力が入らなくて、フラフラする。
「ちょっと、ちょっと!後継者とかなんかワクワクする話し満載だね。あの、ところで、どういう関係なのでしょうか」
梓が、ヘイリに向かって尋ねる。
「ああ、申し訳ない。美しい女性に名乗りもせず」
そう言って、ヘイリは梓の前に行って胸元に手を当て頭を軽く下げた。
「私は、魔界の王子、ヘイリと申します。ルカの兄ですよ」
頭を上げたヘイリは、少し口角を上げ、爽やかに微笑む。
「私は、セドリックと申します。以後お見知りおきを」
そう言って、ビシっとお辞儀をする。
「セドリックは魔界一優秀な執事なのだよ」
「とんでもありません。私はまだまだでございます」
また始まったよ、茶番劇が。
「サラ様~!!」
この茶番劇に疲れ、どうやって梓達に説明をしようか考えていたら、屋敷からシキが素早く走ってきた。


