ジャリ……。
ハンカチの他に、手に触れた物……。
「黒羽 ルカです。よろしくお願いします」
彼が自己紹介をして頭を下げたと同時に、あたしはポケットの中からそれを取り出した。
シルバーの、シンプルなネックレスだ。
……え?こんなの、あたし持ってない。
誰のもの……?
なんで見たこともないネックレスが、あたしのポケットの中に……?
もう一度、彼、黒羽くんに目を向けると、やっぱり、あたしの方を真剣な目で見ている。
おさまらない鼓動。
血液が、あたしの中で暴れ出してるようだ。
体が震え、落ち着いて席に座っていられない感情になる。
なに……?
一体、何なの?


