「ほら、何ボーっと突っ立ってんだ。さっさと自己紹介しろ」
無表情で黒板の前に立ち教室中を静かに見渡していた彼に、太一は面倒くさそうに眉を潜めながら言った。
グルーッと教室を見渡していた彼の目が、ピタリと、あたしで止まった。
ギューッと胸が締め付けられる。
……なに?
どうして、急にこんな気持ちになるの……?
何故だかわからないけれど、別に焦ってるわけでもないのに、変な汗が出てくる。
今にも吸い込まれそうな彼のグリーンの瞳からサッと目を逸らし、手に握った汗を拭こうと、スカートのポケットの中に手を入れた。


