誰もいない教室に連れて来られ、もう、邪魔が入らないように、ルカはしっかりドアに鍵を閉めた。
騒がしい廊下。
それに対し、物凄く静かなこの部屋に、あたし達の呼吸の音が響いていた。
「サラ」
ルカはあたしから手を離し、向かい合った。
ゆっくりと、ルカを見上げる。
ルカのことを思い出した今、ルカが制服を着ていることが不思議で仕方ない。
「ひとつ確かめておきたいことがある」
「……なに?」
「おまえは…俺のことを、思い出したのか?」
ルカのグリーンの瞳に捕まる。
あたしは少し間を開けて、小さく何度か頷いた。
「そうか」
ルカは安堵のため息をつき、嬉しそうにも辛そうにも見える表情になる。
「ルカ……あたし……」
思い出した事をルカに言おうとしたら、いきなりギュッと強く抱きしめられた。


