ルカ!!
ルカだ!!
思い出した。何もかも。
あたしが、魔界で経験してきた全ての出来事も。
シキのことも。
フランさん、チヅルさん。
大嫌いだったヘイリ。その使い人のセドリック。
「ルカ!!」
もう一度、はっきりと彼、ルカの名前を呼ぶ。
ルカは、驚きと切なさがない交ぜになったような表情をし、あたしの手首を掴んで人ごみをかき分けた。
「ちょ、ルカ痛いっ!!みんな見てんじゃん!!」
「気にするな」
あたしの腕を掴んでグングン廊下を進んで行くルカに少し抵抗するも、ルカの力には敵わなくて引きずられるように廊下を進む。
「き、気にするなって!!ちょ、止まってって!!」
あたしが大声で言うと、廊下を歩いていた梓があたし達を見て「サラっ!?」と驚いていた。
あたしは、あとで説明するからとルカに手首を引きずられながら、あいた右手を顔の前に出し、梓に「ごめん」と謝った。


