「黒羽くんは……無駄に広い、屋敷に、住んでいて……」
あたしの頭に浮かんでくるのは、さっき彼のグリーンの瞳に映っていた洋風の庭。
真っ白な霧の中に、薄らと浮かび上がってくる。
「ああ」
チョロチョロと気持ちを癒してくれる大きな噴水。
キレイな真っ赤なバラがたくさん植えられていて、昨日見た幼く感じる執事が、丁寧に手入れをしている。
ホワイトハウスのような洋館が建っていて、そこには、大勢の執事やメイド。
そして……。
「性悪な…王、子……」
言った瞬間、ドンッ!!と、あたしの中に重みが落ちてきた。
グッと目を見開き、彼を見る。
透き通るような白い肌。
人目を惹く金髪の髪。
グリーンの瞳。
そして、他の人よりはっきりと目立つ尖った八重歯。
「……ル、カ」
彼の名前を呼ぶと、まるで頭の中で巻き戻しをされてるように記憶が逆再生される。
性悪な王子……魔界の王子、ルカ……。


