「あんた達ふたりの正体、もうルカ達も知ってるんだから」
「だから?」
「急に消えたあたしを探して、もうすぐここに……」
「ハハハハハハハハっ‼」
あたしが言い終わらないうちに、庵可くんは高々として笑い声を上げた。
ヘンリーもクククっと笑っている。
「まだわからないのか?」
……なに?
「王族の魔力は、魔界一強いんだ。そんなヤツらが、すぐにここに駆けつけられないわけがないだろう。とっくに屋敷から直接ここに飛んで来てるはずだ」
庵可くんは、両手をポケットに突っ込み、大きくため息をついた。
「図書室で本に触れる度に、俺が魔力を吸い取っていたんだよ。すぐに行動できないようにな」
……嘘。
「だから、まだもう少し時間がかかるかもなぁ。まぁ、無力な人間に比べたら早いんだろうけどなぁ」


