カタン……。
ゆっくりゆっくり後ずさりを続けていると、とうとう、屋上の柵に背中がついてしまった。
もう、後ろにはさがれない。
「当時、関わったヤツら全てに復讐する為に、ヘンリーに王族の執事として屋敷に入ってもらったんだ。理想は大魔王の城だったが、配属は王子の屋敷だった」
「…………」
「それだけで時間のロスだよな~。城に入れていれば、直接あの15人について色々調べ、とっくの昔に復讐できていたかもしれないのに」
庵可くんはヘンリーと目を見合わせ、ふたりで笑いあった。
「もっと時間がかかるかなと思っていたが、日食に助けられたよ」
日食……。
「色んな力を俺達に与えてくれたからなぁ」
庵可くんはそう言って、自分の手を眺めた。
「運よく王子の屋敷内に入れて、これまた運よく魔界のフェスティバルに参加できることになった」
「ホント、あれは運だったな」
ふたりで言い合い、クククと笑う。
「ひとりふたりと殺していくうちに、だんだん物足りなさを感じるようになってな」
物足りなさ!?


