『やっぱり、ルカ様の好きな人はサラなんだ~!!』
『でも、どうしてサラはルカ様のことを忘れてるのよっ!!』
『昔会ったっきりとかだったんじゃないの?』
『ああ、名前は聞いたことあるけど、見た目が変わりすぎてて気づかないってヤツ!?』
『そうそう!!いいなぁ、サラ!!』
あたしは慌てて人だかりを見回し、頭をブンブンと振る。
昔会ったっきり……?
まさか……。
あたし、こんな知り合いいないもん。
いたとしても、こんなに特徴的な人、忘れるとは思わない。
「サラ。シキも、おまえに会いたがっている」
……シキ。
「シキ…って、昨日、迎えに来ていた執事、だよね……?」
ジワジワと、何かがあたしの中に迫っている。
体の奥深くから、温かいものが、出ようとしてるんだ。
「そうだ」
彼が頷いて、また一段と体の中心が温かくなる。


