「あんたが、誰もいない部屋でヘンリーが怪しいと持ちかけたのは、この俺だ」
バカにしたようにフンっと鼻で笑ったヘンリー。
「あんたが付けてるそのネックレス。前々から怪しいなとは思ってたけど、もっと早く奪っとくべきだったな」
「…………」
「あの日の夜、あんたが俺が怪しいと目をつけたのを知って、ちょっと焦ったよね。あまりにもバレるのが早く過ぎて」
何が面白いのか、ヘンリーは冷たく微笑む。
「そのネックレスが俺達の存在を知らせるなんて、恐ろしいネックレスだ」
「梓はどこ?」
「…………」
「梓をどこに隠したの!?」
あたしが言うと、ふたりは軽く眉を上げた。
「さぁ、どこでしょう」
「梓は無事なの?」
「さぁ、どうでしょう」
あたしを試すように、意味深に微笑むヘンリー。
「梓を返して‼今すぐに‼」
「安心しろ。あの女には少し眠ってもらってるだけだ」
「…………」
「あの女を殺したって、何の得にもならないからな」
本当に、無事……?


