「全く。あんたがアホで助かったよ」
完全にヘンリーへと姿を変えた梓が、二ヤリと嫌な笑みを浮かべる。
いや、違う。
最初から、梓なんかじゃなかったんだ。
でも……いつから?
いつから、ヘンリーは梓と入れ替わったっていうの?
「あれ?いつから俺があの小娘と入れ替わったのか~とか思ってる?」
今までの新人執事の丁寧な口調は全くなく、心を凍らせるような冷たい声質。
あたしは、ヘンリーも庵可くんも視界に入れながら、ズズズっと後ずさる。
あたしの目の前にふたりが並び、憎しみに溢れた目であたしを見てきた。
「あんたらが魔界に来た日。フェスティバル初日の夜だよ」
初日から!?


