「ああ、今更だけど、後ろに気をつけた方がいいな」
後ろ……?
「敵に背中を見せるなんて、自殺行為だな」
クククと庵可くんが笑う。
あたしが後ろを少し振り返ると、梓は下を俯き、顔には影が出来たいた。
……梓?
梓の体からは、徐々に黒い影がよろめいていた。
「あ、梓!?」
あたしが梓の体に触れると、庵可くんの高々とした笑い声が上がった。
「まだ梓とか言っているのか?」
え……?
なに……?
「おまえは、親友が入れ換わったのにも気づかないんだな」
入れ換わった……?
ハッとして梓を見ると、みるみるうちに姿を変え、あたしが梓だと思っていたそれは……。
「へ、ヘンリー!?」
今まで行方不明になっていた、ヘンリーだった。


