「復讐が、スムーズにできるように」
ジッと、庵可くんから目を逸らさないように言う。
真夏の太陽が、あたしの肌を焼く。
暑くて、額から汗が流れ落ちる。
だけど、絶対に庵可くんから目を逸らさなかった。
微かな表情の変化を読み取りたくて。
「ヘンリーはどこ?」
「…………」
「一体、ヘンリーをどこに隠したの?」
フン。と、庵可くんが伏し目がちに笑った。
あたしは、グッと足に力を入れる。
「これだけ探しても見つからないとかおかしすぎる!言いなさいよ!一体、どこに……」
「やっぱり、おまえらの目はクズだな」
「……ッ!?」
急に、庵可くんの声質が変わった。
今までの年下の可愛らしさなんて全くない。
太く、低い声。
目つきも変わってきた。
丸くて優しかった目元が、徐々に上につり上がり、耳が尖ってくる。
そして、八重歯もくっきりと伸びてきた。
「ヘンリーをどこに隠したかって?」
あたしは、梓の体を守り、少し後ずさる。


