あたしは反射的に、梓を自分の体の後ろに隠す。
すると、庵可くんはとぼけた表情で、あたしの後ろを見る。
「あれ?どうして隠れるんすか?」
とぼけないでよ。
もう全てわかってるんだから。
梓に何をするつもりだったの?
あたしがギロリと庵可くんを睨みつけると、庵可くんは驚いたように目を丸くした。
「サラさん。何でそんなに睨むんですか?僕が何かしました?」
「いつまでそのキャラを続けるの?」
あたしが言うと、庵可くんは更に首を傾げた。
「とぼけたって無駄だよ?もう全部わかってるんだから」
「…………」
「ヘンリー宛てにメッセージを送ったの、庵可くんでしょ?」
あたしが言っても、庵可くんの表情は全く動かない。
キョトンとしたままだ。
「復讐の為にルカの屋敷にヘンリーを送りこんで、ジワジワと攻めてたんでしょ?違う?」
「…………」
「偶然を装ってルカの屋敷に来て、自分の目で屋敷の構造を確かめたんじゃないの?」
「…………」


